
相続土地国庫帰属制度の基礎知識は?掛川市で農地や山林を手放す際の負担金の考え方
公開日:2026年11月4日 更新日:2026年11月4日
相続で引き継いだ農地や山林を、この先どうするべきか悩んでいませんか。草木が伸び放題のまま管理に手が回らず、固定資産税だけが毎年かかり続けると、終活の大きな負担にもなります。
結論から言うと、相続や遺贈で取得した土地なら、要件を満たして負担金を納めることで、国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」を利用できる可能性があります。売りにくい土地を抱えた方にとって、売却以外のもう一つの出口になる制度です。
この記事では、制度の概要と利用できる人、農地や山林が対象になる要件、負担金の考え方、掛川市で売りにくい土地を持つ方の検討ステップまで、分かりやすく整理して解説します。
この記事でわかること
- 相続土地国庫帰属制度の仕組みと、利用できる人・できない人
- 農地や山林が引き取ってもらえる要件と、引き取ってもらえない土地
- 負担金の金額の考え方と、制度を利用するかどうかの検討ステップ
よくある質問(目次)
Q1.相続土地国庫帰属制度は、誰が利用できますか?
A.相続または遺贈(相続人に対するもの)で土地を取得した人が利用できます。自分が相続した土地であれば、生前の終活として申請することも可能です。一方、自分で購入した土地は対象外です。
Q2.掛川市の農地や山林も、国に引き取ってもらえますか?
A.条件を満たせば対象になります。ただし、建物がある、境界が明らかでない、管理に大きな費用がかかる崖がある、適切に手入れされていない森林で国による整備が必要になる、といった土地は引き取ってもらえない場合があります。
Q3.相続土地国庫帰属制度の負担金はいくらですか?
A.負担金は国が管理する費用の10年分に相当する額で、原則として1筆20万円です。ただし森林は面積に応じて計算され、市街化区域内の農地や宅地なども面積に応じて計算されるため、広い土地ほど高くなります。別に審査手数料もかかります。
Q4.制度を利用するか迷ったら、どう検討すればよいですか?
A.まず土地の地目・面積・管理状況と毎年の管理費用を整理し、売却・保有の継続・国庫帰属を比べます。そのうえで法務局の事前相談を利用し、要件に合いそうかを確認するのがおすすめです。売却できる見込みがあれば、先に売却を検討しましょう。
相続土地国庫帰属制度とは|利用できる人と制度の目的
相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を手放したい方のために設けられた比較的新しい制度です。まずは制度の目的と、利用できる人を正しく押さえましょう。
- 令和5年4月に始まった、相続した土地を国に引き取ってもらう制度
- 相続や遺贈で取得した人が対象で、自分で購入した土地は利用できない
- 売りにくい土地の「売却以外の出口」として検討できる
詳しく解説していきます!
令和5年4月に始まった、相続した土地を国に引き取ってもらう制度
相続土地国庫帰属制度は、令和5年4月27日に始まった、相続や遺贈で取得した土地を、要件を満たせば国に引き取ってもらえる制度です。
1.制度ができた背景:相続登記がされないまま放置され、所有者が分からない土地が全国で増え、公共事業や土地の活用の妨げになっていることが社会問題になっています。
2.制度の目的:使わない土地を手放す方法を用意することで、所有者不明の土地や管理されない土地が増えるのを防ぎます。
3.関連する制度:同じ目的で、令和6年4月からは相続登記も義務化されています。
相続や遺贈で取得した人が対象で、自分で購入した土地は利用できない
制度を利用できるのは、相続または遺贈(相続人に対するもの)で土地を取得した人です。
- 利用できる人
- 親などから相続した土地を持っている人。自分が相続した土地であれば、生前の終活として申請することもできます。
- 利用できない人
- 自分で購入した土地や、贈与を受けた土地は対象外です。
- 相続登記との関係
- 相続登記が済んでいなくても、戸籍などで相続による取得を証明すれば申請できます。ただし、令和6年4月から相続登記は義務になっているため、あわせて進めておくのが安心です。
売りにくい土地の「売却以外の出口」として検討できる
掛川市にも、郊外の農地や山林など、自分では使わず管理だけが負担になっている土地を抱えている方は少なくありません。
1.売りにくい土地の悩み:一般的な売却が難しかったり、買い手探しに時間がかかったりすることが多くあります。
2.放置のリスク:管理が行き届かないと、草木が伸び放題になり、近隣への影響が心配になります。
3.制度の役割:条件を満たせば国に引き取ってもらい、将来の管理の負担から解放されます。売却が難しい土地の、もう一つの選択肢として検討する価値があります。
農地や山林は対象になる?掛川市の土地と適用要件
農地や山林も、一定の要件を満たせば制度の対象になります。ただし、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではないため、要件を確認しておきましょう。
- 農地・山林・原野も、要件を満たせば申請できる
- 建物がある土地や境界が不明な土地は、申請自体ができない
- 危険な崖や手入れされていない森林などは、承認されない場合がある
詳しく解説していきます!
農地・山林・原野も、要件を満たせば申請できる
相続土地国庫帰属制度では、宅地だけでなく、農地や山林、原野なども申請の対象になります。
1.判断の基準:地目や利用状況だけで決まるのではなく、国が通常の管理をするのに大きな費用や手間がかからない土地かどうかで判断されます。
2.現地の確認:申請後には法務局による現地調査が行われ、土地の状態が確認されます。
3.事前の把握:申請の前に、土地にどのような問題がありそうかを把握しておくことが大切です。
建物がある土地や境界が不明な土地は、申請自体ができない
次のような土地は、そもそも申請をすることができません(却下要件)。
1.建物がある土地:古い建物が残っている場合は、解体してからでないと申請できません。
2.権利関係に問題がある土地:抵当権などの担保権が設定されている土地や、通路など他人が使う予定のある土地は対象外です。
3.境界・土壌に問題がある土地:境界が明らかでない土地や、所有権の範囲に争いがある土地、土壌汚染がある土地も申請できません。
危険な崖や手入れされていない森林などは、承認されない場合がある
申請できても、管理に大きな費用や手間がかかる土地は、審査で承認されない場合があります(不承認要件)。
- 崖のある土地
- 勾配が30度以上かつ高さ5m以上の崖があり、管理に大きな費用や手間がかかる土地。
- 工作物・残置物がある土地
- 管理や処分の妨げになる工作物や車両、樹木などがある土地や、地中に除去が必要なものが埋まっている土地。
- 手入れされていない森林
- 適切な造林・間伐・保育が行われておらず、国による追加の整備が必要な森林。
なお、共有名義の土地は、共有者全員で申請する必要があります。共有者の同意が得られないと手続きが進まないため、早めに話し合っておきましょう。
相続土地国庫帰属制度の負担金と、農地・山林の目安
制度を利用するには、国が今後管理していくための費用として「負担金」を納める必要があります。金額の考え方と、保有を続ける場合との比べ方を押さえておきましょう。
- 負担金は、国が管理する費用の10年分に相当する額
- 原則は1筆20万円で、森林や一定の区域の農地・宅地は面積に応じて計算する
- 負担金と、保有を続けた場合の管理費用を長い目で比べる
詳しく解説していきます!
負担金は、国が管理する費用の10年分に相当する額
負担金は、国が土地を管理するのに必要な費用の10年分に相当する額です。
1.支払いのタイミング:審査で承認された後に納め、納付した時点で土地が国のものになります。
2.支払いは1回きり:国庫帰属が認められれば、その後に追加で支払いが発生することはありません。
3.審査手数料:負担金とは別に、申請時に土地1筆ごとに審査手数料がかかります。審査で承認されなかった場合も、手数料は戻りません。
原則は1筆20万円で、森林や一定の区域の農地・宅地は面積に応じて計算する
負担金は原則として土地1筆あたり20万円ですが、土地の種類や場所によっては面積に応じて計算されます。
- 原則20万円の土地
- 下記以外の宅地・農地や、雑種地・原野など。
- 面積に応じて計算する土地
- 森林のほか、市街化区域や用途地域内の宅地、市街化区域・用途地域内や農業振興地域の農用地区域内などの農地は、面積に応じて計算されるため、広い土地ほど負担金が高くなります。
- 負担金を抑える工夫
- 隣り合う同じ種類の土地は、申請時の申し出により1つの土地として負担金を計算できる場合があります。
具体的な金額は、法務省のホームページに掲載されている負担金の自動計算シートで目安を確認できます。
負担金と、保有を続けた場合の管理費用を長い目で比べる
制度を利用するかどうかは、負担金と、今後も自分たちで管理を続けた場合の費用と手間を比べて判断することが大切です。
1.管理の負担:保有を続けると、草刈りや境界の管理、倒木の対策などの費用と手間がかかり続けます。
2.長期の費用:10年、20年という長い期間で見ると、管理費用の合計が負担金を上回ることもあります。
3.将来の相続:保有を続けると、相続のたびに手続きが発生し、次の世代に負担を引き継ぐことになります。
掛川市で売りにくい土地を持つ方の検討ステップ
相続土地国庫帰属制度は便利な制度ですが、売却など他の方法のほうが合う場合もあります。順を追って検討し、自分に合った方法を選びましょう。
- 土地の現状と、毎年の管理費用を整理する
- 売却・保有の継続・国庫帰属を比べて方針を決める
- 法務局の事前相談を利用し、手続きの流れを把握する
詳しく解説していきます!
土地の現状と、毎年の管理費用を整理する
まずは手元の土地の現状と、毎年かかっている管理費用を書き出すことから始めます。
1.基本情報:登記簿や固定資産税の納税通知書で、地目・面積・所在を確認し、実際の使われ方と照らし合わせます。
2.管理の負担:草刈りや伐採、私道の補修など、毎年どの程度の費用と時間をかけているかを書き出します。
3.土地の状態:建物や残置物、崖、境界の目印があるかなど、現地の状態も写真で記録しておくと役立ちます。
売却・保有の継続・国庫帰属を比べて方針を決める
土地の状況が整理できたら、売却・保有の継続・国庫帰属の3つを比べて方針を決めます。
1.売却を先に検討:売れる見込みがある土地なら、負担金を払う国庫帰属より、売却のほうが手元にお金が残ります。まずは不動産会社に売却の可能性を確認しましょう。
2.国庫帰属が向くケース:売却が難しく、要件を満たしていて、負担金を払ってでも管理から解放されたい場合に向いています。
3.保有を続ける理由:将来使う予定があるかどうかなど、「持ち続ける理由」と「手放したい理由」を書き出して比べると判断しやすくなります。
法務局の事前相談を利用し、手続きの流れを把握する
制度の利用を考える場合は、法務局の事前相談を利用して、要件に合いそうかを早めに確認するのがおすすめです。
1.手続きの流れ:事前相談→必要書類の準備→承認申請と審査手数料の納付→書面審査・現地調査→承認→負担金の納付→国庫帰属、という流れで進みます。
2.負担金の期限:承認の通知を受けてから30日以内に負担金を納付しないと、承認の効力が失われます。
3.早めの着手:審査には一定の期間がかかり、追加資料を求められることもあるため、相続登記や共有者の同意の取得とあわせて早めに準備を進めましょう。
まとめ
相続土地国庫帰属制度は、売りにくい農地や山林を将来の負担ごと手放したい方にとって、有力な選択肢になり得ます。この記事のポイントを振り返ります。
- 相続や遺贈で取得した土地が対象で、自分で購入した土地は利用できない
- 建物がある・境界が不明な土地は申請できず、危険な崖や手入れされていない森林は承認されない場合がある
- 負担金は原則1筆20万円で、森林や一定の区域の農地・宅地は面積に応じて高くなる
- まず売却の可能性を確認し、売却・保有・国庫帰属を比べたうえで法務局の事前相談を利用する
自己判断だけでは、「制度を使えるのか」「売却と比べて本当に得か」を見誤ることがあります。土地の状況を整理したうえで、専門家に相談しながら判断しましょう。
掛川市の売りにくい土地のご相談は株式会社結不動産へ
株式会社結不動産は、掛川市に特化した地域密着の不動産会社です。地域の実情をよく知っているからこそ、相場だけにとらわれない現実的なご提案ができます。
代表は一級建築士・空き家相談士の資格を持ち、土地や建物の状態を正しく見極めたうえで、売却・賃貸・改修・空き家活用まで総合的にご提案します。司法書士・税理士などの士業や専門業者と連携し、相続・名義変更・税務・残置物整理・解体までワンストップで対応できるのも当社の強みです。
「売る」ことだけが答えではありません。国庫帰属制度との比較や、将来を見据えた保有など、ご家族にとって最適な選択肢を一緒に考えます。「街の結び役」として、掛川の街を次の世代へつないでいくことが私たちの理念です。農地や山林の扱いに迷ったら、お気軽にご相談ください。
監修:原田 連央(株式会社結不動産 代表/一級建築士・空き家相談士)
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